パソコンを買うとき、スペック表で最初に目に入るのがCPUの型番です。ところが「Core Ultra 7 265K」や「Ryzen 7 9800X3D」と書かれていても、それがどの程度の性能なのか、そもそもIntelとAMDのどちらを選ぶべきなのかは、型番を眺めているだけでは判断できません。
しかも両社の勢力図は、ここ2〜3年で大きく動きました。かつて「ゲームならIntel」と言われていた常識は、現在では通用しなくなっています。
この記事では、実際のベンチマークスコアを載せた比較表をもとに、AMDとIntelのどちらを選ぶべきかを用途別に整理します。型番から世代を読み取る方法や、中古・再生パソコンを選ぶときの注意点まで扱いますので、買い替えを検討している方はスペック表を手元に置きながら読み進めてください。
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AMDとIntelのCPUは結局どっちがいい?
細かい話に入る前に、結論からお伝えします。
| 用途 | おすすめ | 推奨グレードの目安 |
| ゲーム(フレームレート重視) | AMD | Ryzen 7 9800X3D / 9850X3D などX3Dモデル |
| 動画編集・3DCG | やや AMD | Ryzen 9 9950X / Core Ultra 9 285K |
| 事務・Office・Web会議 | どちらでも可 | Core Ultra 5 / Ryzen 5 クラスで十分 |
| プログラミング・開発 | やや AMD | Ryzen 7 以上 |
| 法人での大量導入・資産管理 | Intel | vPro対応の Core Ultra シリーズ |
| 予算を抑えたい | AMD | 同価格帯でコア数が多い傾向 |
| 薄型ノートで選択肢を広く持ちたい | Intel | Core Ultra シリーズ2/3 |
ざっくり言えば、自作やゲーミングPCならAMD、法人向けのノートPCならIntelという住み分けになっています。ただし事務用途に限れば、正直なところどちらを選んでも体感差はほとんどありません。
「AMD優勢」と言われる3つの理由
自作PC界隈やレビューサイトで「今はAMD」と語られることが増えた背景には、はっきりした理由があります。
ゲーム性能で明確に勝っている
AMDには3D V-Cacheという技術があり、CPU内部のキャッシュメモリを従来の2〜3倍に積み増した「X3D」モデルを展開しています。ゲームの処理はこのキャッシュ容量に強く影響を受けるため、X3Dモデルはゲーム用途で他を寄せつけません。
PassMarkがゲーム性能に特化して集計しているランキングを見ると、上位はAMDのX3Dモデルがほぼ独占している状態です。
| 順位 | CPU | ゲーミングスコア |
| 1位 | Ryzen 9 9950X3D2 | 15,385 |
| 2位 | Ryzen 7 9850X3D | 12,524 |
| 3位 | Ryzen 9 9900X3D | 12,398 |
| 4位 | Ryzen 7 9800X3D | 12,107 |
| 6位 | Ryzen 9 9950X3D | 11,254 |
| 7位 | Core Ultra 7 270K Plus | 10,703 |
| 11位 | Core Ultra 9 285K | 10,352 |
| 17位 | Core Ultra 7 265K | 9,381 |
首位のRyzen 9 9950X3D2は、キャッシュを増量したチップを2基搭載した特殊なモデルで、2026年4月に178,000円で国内発売されました。一般的な選択肢とは言いがたい製品ですが、上位陣の顔ぶれを見れば傾向は明らかです。Intelの最上位モデルであるCore Ultra 9 285Kが11位というのは、数年前では考えられなかった順位でした。
消費電力あたりの性能が高い
Ryzen 7 9700XのTDPは65Wで、これはCore i5-14400Fと同じ枠です。それでいてスコアはCore i5-14600K(TDP 125W)に迫ります。発熱が小さければ冷却も簡単になり、電源ユニットのグレードも下げられます。
ソケットを長く使える
AMDは2022年に登場したSocket AM5について、2026年のCOMPUTEXで2029年までサポートを延長すると公表しました。実際にRyzen 7000シリーズ、8000シリーズ、9000シリーズはすべて同じソケットで動作します。マザーボードを買い替えずにCPUだけ載せ替えられるということです。
対するIntelは、おおむね2世代でソケットが変わります。将来のアップグレードを見据えるなら、この差は無視できません。
それでもIntelを選ぶべき3つのケース
とはいえ、すべての場面でAMDが正解というわけではありません。
1つ目は、法人での一括導入です。
IntelのvProは、電源が入っていない状態のPCにネットワーク経由でアクセスして復旧作業を行える仕組みで、情報システム部門の運用負荷を大きく下げます。AMDにもPRO機能という同等の仕組みはありますが、対応機種の数と国内での導入実績にはまだ差があります。
2つ目は、シングルコア性能を求める場面です。
PassMarkのSingle Thread Ratingを比べると、Core Ultra 9 285Kが5,086、Core Ultra 7 265Kが4,928に対し、Ryzen 9 9950Xは4,727。ひとつの処理をどれだけ速く終わらせるかという指標では、Intelがまだ優位を保っています。ExcelのマクロやCADのように、複数コアを使い切れないソフトではここが効いてきます。
3つ目は、ノートPCの選択肢です。
法人向けノートPCの主力機は、いまだIntel搭載モデルが中心です。「この機種のこの構成が欲しい」と決まっている場合、AMD版が存在しないというケースは珍しくありません。
AMD RyzenとIntel Coreの違い

AMD Ryzenの特徴と現行シリーズ構成
Ryzenは2017年に登場したAMDのCPUブランドです。それまでIntelの独走状態だったCPU市場に、コア数と価格で切り込んで一気にシェアを回復させました。
2026年9月時点の主なラインナップは次のとおりです。
- Ryzen 9000シリーズ(Zen 5、Socket AM5):デスクトップ向けの現行世代。Ryzen 5 / 7 / 9 のグレード展開
- X3Dモデル:Ryzen 7 9800X3D、9850X3D、Ryzen 9 9950X3D など。3D V-Cache搭載でゲーム特化
- Ryzen AI 300/400シリーズ:ノートPC向け。NPUを内蔵しCopilot+ PCの要件を満たす。400シリーズは2026年1月のCES 2026で発表
- Ryzen 8000Gシリーズ:内蔵グラフィックスを強化したAPU。単体GPUなしで軽いゲームが動く
グレードの数字が大きいほど上位です。Ryzen 3がエントリー、Ryzen 5が普及帯、Ryzen 7が上位、Ryzen 9が最上位という並びで、IntelのCore i3 / i5 / i7 / i9とほぼ対応します。
Intel Coreの特徴と現行シリーズ構成
Intelは2023年末に、長年使ってきた「Core i」の名称を「Core Ultra」へ切り替えました。現在は世代を「シリーズ1」「シリーズ2」「シリーズ3」と数える方式になっています。
- Core Ultra シリーズ2:デスクトップ向けの現行世代(200Sシリーズ)。Core Ultra 9 285K など
- Core Ultra 200S Plus:2026年3月に登場したリフレッシュ版。Core Ultra 7 270K Plus、Core Ultra 5 250K Plus など。Eコアを4基増やし、DDR5-7200対応
- Core Ultra シリーズ3:2026年1月のCES 2026で発表されたノートPC向け新世代。Intel 18Aプロセスで製造され、同月27日に搭載ノートPCの出荷が始まりました。Core Ultra X9 388H、Core Ultra 9 386H など。NPU性能は最大50TOPS
- Core i シリーズ:第14世代までの旧名称。中古市場ではまだ主流
Intelの特徴は、高性能な「Pコア」と省電力な「Eコア」を組み合わせたハイブリッド構成です。重い処理はPコアに、バックグラウンドの軽い処理はEコアに割り振ることで、消費電力を抑えつつ全体の処理量を稼いでいます。
Intel CPUの型番・世代の読み方
型番は、慣れてしまえば数秒で読み解けます。Core Ultra 7 265K を例に見てみましょう。
| 部分 | 意味 |
| Core Ultra | ブランド名(旧称はCore i) |
| 7 | グレード。3 / 5 / 7 / 9 の順に上位 |
| 2 | 世代。2 = シリーズ2 |
| 65 | 同世代内での性能を示す番号。大きいほど上位 |
| K | 用途を示す記号 |
末尾の記号は、店頭で迷いやすいポイントです。
- K:オーバークロック対応。デスクトップの上位モデル
- F:内蔵グラフィックスなし。別途グラフィックボードが必須
- H:ノートPC向けの高性能版
- HX:ノートPC向けの最上位。デスクトップに近い性能
- U:ノートPC向けの省電力版。薄型モバイルに多い
- T:デスクトップ向けの省電力版。省スペース機に採用される
旧名称の「Core i7-14700K」であれば、14が第14世代、700が性能番号という読み方になります。
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AMD CPUの型番・世代の読み方
AMDも構造は似ています。Ryzen 7 9800X3D で見ていきます。
| 部分 | 意味 |
| Ryzen | ブランド名 |
| 7 | グレード。3 / 5 / 7 / 9 の順に上位 |
| 9 | 世代。9 = 9000シリーズ |
| 8 | 性能ランク。大きいほど上位 |
| 00 | 型番の枝番 |
| X3D | 用途を示す記号 |
こちらも末尾記号を押さえておくと便利です。
- X3D:3D V-Cache搭載。ゲーム特化モデル
- X:高クロック版
- 記号なし:標準版。消費電力が控えめ
- G:内蔵グラフィックスを強化したAPU
- HS / HX:ノートPC向けの高性能版
- U:ノートPC向けの省電力版
注意したいのは、AMDのノート向け型番です。世代を示す数字が実際の設計世代と一致しないことがあり、たとえば同じ7000番台でも中身の世代が異なるモデルが混在していた時期があります。中古のノートPCを選ぶときは、型番だけで判断せず発売年も確認したほうが確実です。
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内蔵グラフィックスとNPU(AI性能)の違い
グラフィックボードを別に積まない構成では、CPUに内蔵されたグラフィックス機能が画面表示を担当します。
AMDはRadeonブランドのGPUを自社で持っているため、内蔵グラフィックスの性能で長く優位に立ってきました。特に8000Gシリーズは、軽めのオンラインゲームであれば単体GPUなしで動かせるレベルにあります。
Intelも第12世代以降でIris XeやArcベースの内蔵GPUを載せており、動画再生やWeb会議で困ることはありません。加えてQuick Sync Videoという動画エンコード専用の回路を持っており、動画の書き出しではこれが効く場面があります。
2024年以降はNPU(AI処理専用ユニット)が加わりました。Copilot+ PCとして認定されるには40TOPS以上のNPU性能に加え、メモリ16GB、ストレージ256GB以上が必要です。
ここで注意したいのは、Core Ultraなら何でも対象になるわけではないという点です。Microsoftが対応プロセッサーとして挙げているのは、AMD Ryzen AI 300/400シリーズ、Intel Core Ultra 200V/300Vシリーズ、Snapdragon Xシリーズに限られます。同じCore Ultra シリーズ2でも、デスクトップ向けの200SシリーズはCopilot+ PCの対象外です。Core Ultra シリーズ3では、上位モデルでNPU性能が最大50TOPSに達しています。
ただ現時点では、NPUの有無が日常業務の快適さを左右する場面はまだ限定的です。今すぐ必要というより、数年使う前提での保険と考えておくのが現実的でしょう。
ソケット・マザーボード互換性とアップグレード性
「AMDのCPUをIntelのマザーボードに載せられますか」という質問をよく見かけますが、答えは明確にノーです。CPUをマザーボードに固定するソケットの形状も、電気的な仕様もまったく異なるため、物理的に装着できません。
CPUを載せ替えるときは、同じソケットに対応した製品を選ぶ必要があります。
| メーカー | 現行ソケット | 対応するCPU |
| AMD | Socket AM5 | Ryzen 7000 / 8000 / 9000シリーズ |
| Intel | LGA1851 | Core Ultra シリーズ2(200S / 200S Plus) |
| Intel | LGA1700 | 第12〜14世代 Core i |
AMDがAM5を長期サポートすると表明しているのに対し、Intelは第12〜14世代のLGA1700からCore Ultra世代のLGA1851へ移行した際、CPUだけの載せ替えができなくなりました。将来的にCPUを更新する前提で組むなら、この違いは検討材料になります。
【2026年最新】AMD・Intel CPU性能比較表
ここからが本題です。カタログスペックを眺めるより、ベンチマークスコアを並べたほうが力関係は一目で分かります。
以下の表は、PassMarkが公開しているCPU Markスコア(2026年9月時点)をもとにまとめたものです。コア数・クロック・TDPはIntelおよびAMDの公称値です。ベンチマークスコアは利用者から集まるデータの蓄積によって変動するため、絶対的な数値ではなく相対的な位置関係を見る目安としてご覧ください。
デスクトップ向けCPU性能比較表
上位帯
| 型番 | CPU Mark | コア/スレッド | クロック | TDP |
| Ryzen 9 9950X3D | 70,098 | 16/32 | 4.3〜5.7GHz | 170W |
| Core Ultra 9 285K | 67,233 | 24/24 | 3.7〜5.7GHz | 125W(最大250W) |
| Ryzen 9 9950X | 65,702 | 16/32 | 4.3〜5.7GHz | 170W |
| Core Ultra 7 265K | 58,580 | 20/20 | 3.9〜5.5GHz | 125W(最大250W) |
| Core i9-14900K | 58,226 | 24/32 | 3.2〜6.0GHz | 125W(最大253W) |
| Ryzen 9 9900X | 54,314 | 12/24 | 4.4〜5.6GHz | 120W |
| Core i7-14700K | 51,933 | 20/28 | 3.4〜5.6GHz | 125W(最大253W) |
| Core Ultra 5 245K | 43,055 | 14/14 | 4.2〜5.2GHz | 125W(最大159W) |
| Ryzen 7 9800X3D | 39,928 | 8/16 | 4.7〜5.2GHz | 120W |
中位〜普及帯
| 型番 | CPU Mark | コア/スレッド | クロック | TDP |
| Core i5-14600K | 38,409 | 14/20 | 3.5〜5.3GHz | 125W(最大181W) |
| Ryzen 7 9700X | 36,951 | 8/16 | 3.8〜5.5GHz | 65W |
| Ryzen 7 7800X3D | 34,279 | 8/16 | 4.2〜5.0GHz | 120W |
| Ryzen 5 9600X | 30,069 | 6/12 | 3.9〜5.4GHz | 65W |
| Ryzen 5 7600X | 28,271 | 6/12 | 4.7〜5.3GHz | 105W(最大142W) |
| Ryzen 7 5700X | 26,556 | 8/16 | 3.4〜4.6GHz | 65W |
| Core i5-14400F | 25,440 | 10/16 | 2.5〜4.7GHz | 65W |
| Ryzen 5 5600X | 21,825 | 6/12 | 3.7〜4.6GHz | 65W |
表を見て気づくのは、Ryzen 7 9800X3Dの総合スコアが決して高くない点です。8コアしかないため、全コアを使う処理では上位モデルに大きく離されます。それでもゲームで最強と評価されるのは、ゲームの処理がコア数よりキャッシュ容量に反応するからです。総合スコアだけで判断すると、この手のCPUは見誤ります。
ノートパソコン向けCPU性能比較表
ノートPCはデスクトップ以上に型番の種類が多く、同じ「Core Ultra 7」でも末尾記号によって性能が2倍以上変わります。
| 型番 | CPU Mark | 位置づけ |
| Ryzen 9 9955HX3D | 62,399 | ゲーミングノート最上位 |
| Core Ultra 9 285HX | 56,533 | ワークステーション級 |
| Ryzen 9 9955HX | 56,302 | ハイエンドノート |
| Ryzen AI Max+ 395 | 54,895 | AI処理特化の高性能モデル |
| Core Ultra 7 265HX | 47,598 | 上位ゲーミングノート |
| Ryzen AI 9 HX 470 | 36,829 | 薄型高性能ノート |
| Core Ultra 9 386H | 36,051 | シリーズ3の上位モデル |
| Core Ultra 7 265H | 34,045 | 標準的な高性能ノート |
| Core Ultra 5 235H | 30,132 | 普及帯の上位 |
| Core Ultra 5 225H | 28,098 | 普及帯 |
| Ryzen AI 7 PRO 450 | 25,092 | 法人向けモバイル |
| Core Ultra 7 365 | 20,617 | 薄型モバイル |
| Core Ultra 5 225U | 17,696 | 省電力モバイル |
一般的な事務作業であれば、CPU Markで15,000前後あれば十分に快適です。Web会議をしながらExcelとブラウザを何枚も開くような使い方でも、20,000を超えていれば不足を感じることはまずありません。
逆に言えば、事務用途で40,000超のCPUを選ぶのは明らかな過剰投資です。同じ予算をメモリ容量やSSDの速度に回したほうが、体感速度は確実に上がります。
比較表の見方|シングル性能・マルチ性能・TDP
スコアの数字を正しく読むために、3つの指標を押さえておきましょう。
マルチコア性能(CPU Mark)は、全コアを同時に使ったときの総合力です。動画のエンコード、写真の一括現像、大量ファイルの圧縮といった作業で効いてきます。コア数の多いモデルが有利です。
シングルコア性能(Single Thread Rating)は、ひとつの処理をどれだけ速くこなせるかを示します。Excelの再計算、ブラウザの表示、多くのビジネスソフトの動作はこちらに依存します。
| 型番 | Single Thread Rating |
| Core Ultra 9 285K | 5,086 |
| Core Ultra 7 265K | 4,928 |
| Ryzen 9 9950X | 4,727 |
| Core Ultra 5 245K | 4,715 |
| Ryzen 7 9700X | 4,643 |
| Ryzen 5 9600X | 4,570 |
| Ryzen 7 9800X3D | 4,421 |
| Core i5-14600K | 4,268 |
| Ryzen 7 7800X3D | 3,759 |
| Core i5-14400F | 3,700 |
この指標に限ればIntelが上位を占めています。旧来「事務用途にはIntel」と言われてきたのは、この特性が理由でした。
TDPは発熱量の目安です。数値が大きいほど強力な冷却が必要になり、動作音も大きくなりがちです。TDP 65WのRyzen 7 9700Xと、TDP 125WのCore i5-14600Kのスコアがほぼ並んでいることからも、電力効率の差が読み取れます。
同価格帯で直接対決|Ryzen 5 vs Core Ultra 5 ほか
グレードごとに、実際のライバル関係を整理します。
| 価格帯 | AMD | Intel | 総合の傾向 |
| エントリー | Ryzen 5 9600X | Core Ultra 5 245K | マルチ性能はIntel、電力効率はAMD |
| ミドル | Ryzen 7 9700X | Core i5-14600K | ほぼ互角。TDPはAMDが半分 |
| ゲーミング | Ryzen 7 9800X3D | Core Ultra 7 265K | ゲーム性能はAMDが明確に上 |
| ハイエンド | Ryzen 9 9950X | Core Ultra 9 285K | 総合力は僅差。用途で選ぶ |
「Ryzen 7とCore i7はどちらが上か」という質問をよく受けますが、グレードの数字が同じでも世代が違えば結果は簡単に逆転します。Ryzen 7 5700X(26,556)とCore i7-14700K(51,933)では2倍近い差があります。メーカーやグレードより先に、まず世代を確認してください。
用途別|AMDとIntelどっちを選ぶべきか

ゲーム用途|Ryzen X3Dが優位な理由
ゲームの動作が快適かどうかは、CPUがどれだけ多くのコアを持っているかではなく、必要なデータをどれだけ手元に置いておけるかで決まります。
CPUがメモリからデータを取りに行くと、キャッシュから読むのに比べて何十倍もの時間がかかります。ゲームは同じデータを短い間隔で何度も参照するため、キャッシュ容量が大きいほどこの待ち時間が減り、フレームレートが安定します。
AMDのX3Dモデルは、この点を狙ってキャッシュを積層構造で増量したものです。Ryzen 7 9800X3Dは8コアしかありませんが、ゲームに限ればCore Ultra 9 285Kを上回ります。総合スコアでは285Kが1.7倍近く高いにもかかわらず、です。
数年前まで「ゲームならIntel」と言われていたのは、当時のIntelがシングルコア性能で圧倒していたためでした。3D V-Cacheの登場でこの前提が崩れたというのが、現在の状況です。
ただし、ゲームのフレームレートはグラフィックボードの影響のほうがはるかに大きいことも申し添えておきます。予算配分で迷ったら、CPUよりGPUを優先したほうが体感は良くなります。
動画編集・クリエイティブ用途
書き出し時間を短くしたいなら、コア数とスレッド数が効きます。Ryzen 9 9950X(16コア32スレッド)とCore Ultra 9 285K(24コア24スレッド)が有力な候補です。
ただしIntelにはQuick Sync Videoという専用回路があり、H.264やH.265の書き出しではCPUの総合力とは別の速さを発揮します。Premiere ProやDaVinci Resolveのように対応しているソフトを使うなら、スコアの差ほど実時間に差が出ないこともあります。
Adobe系のソフトを中心に使うのであれば、CPUよりもメモリ容量を優先したほうが体感の改善は大きくなります。4K素材を扱うなら32GB、可能なら64GBを目安にしてください。
事務・ビジネス用途(Word/Excel/Web会議)
正直なところ、この用途でCPUのメーカーを気にする必要はほとんどありません。
WordやExcel、ブラウザ、Web会議ツールのいずれも、必要とする処理能力は現行CPUの下位モデルで足ります。Core Ultra 5やRyzen 5クラスであれば、どちらを選んでもストレスなく動きます。
体感速度を左右するのは、むしろCPU以外の部分です。
- メモリ:8GBでは足りません。16GBを最低ラインと考えてください
- ストレージ:SATA接続のSSDよりNVMe SSDのほうが起動もファイル操作も速くなります
- 画面解像度:フルHD以上あると作業効率が変わります
Excelのマクロを日常的に回す方や、大きなデータをピボットテーブルで集計する方は例外です。この場合はシングルコア性能が効いてくるため、Intel側にやや分があります。
プログラミング・開発用途
ビルド時間の短縮という観点では、マルチコア性能が高いRyzenが有利です。ソースコードのコンパイルは並列化しやすく、コア数がそのまま時間短縮につながります。
コンテナや仮想マシンを複数立ち上げるなら、コア数とメモリ容量の両方を確保しておきたいところです。Ryzen 7以上、メモリ32GBを目安にすると余裕を持って作業できます。
一方、Webフロントエンドの開発が中心で、ビルド待ちがそれほど発生しない環境であれば、どちらのメーカーでも困ることはないでしょう。
法人PC・大量導入なら(vPro/AMD PRO)
台数が増えるほど、性能より運用のしやすさが重要になります。
IntelのvProは、OSが起動しない状態のPCにもネットワーク経由でアクセスできる仕組みです。遠隔からの電源投入やシャットダウン、UEFI(BIOS)設定の変更、リモートに置いたイメージファイルからの起動といった操作が、OSの状態に左右されずに行えます。拠点が分散している企業や、情報システム担当者が少ない組織では、この機能があるだけで対応工数が変わります。
AMDにもPRO機能という同等の仕組みが用意されていますが、対応機種のバリエーションと国内での導入実績では、まだIntelが先行しています。管理ツールの選定や既存の運用フローとの兼ね合いを考えると、法人での大量導入はIntel搭載機のほうが選びやすいのが実情です。
逆に、部門単位での少数導入や、特定用途に絞った端末であれば、コストパフォーマンスの高いAMD搭載機を選ぶ余地は十分にあります。
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よくある質問
- IntelとRyzen、結局どちらが「高性能」なのですか?
-
現在、両社の技術力は非常に均衡しており、一概にどちらが上とは言えません。
Intelはシングルコア性能(単一の処理能力)が高く、ゲームや特定のソフトウェアで強みを発揮します。一方、AMDのRyzenはマルチコア性能(複数の処理を並行して行う能力)に対するコストパフォーマンスに優れており、動画編集やマルチタスクに強い傾向があります。
世代によっても順位が入れ替わるため、その時々の最新モデルで比較することが重要です。 - ノートパソコンを選ぶ際、AMDとIntelでバッテリーの持ちは変わりますか?
-
以前はIntelの方が省電力と言われていましたが、近年はAMDも省電力性能を飛躍的に高めています。CPUのブランドだけで判断せず、製品ごとのスペック表にある「駆動時間」を確認することをおすすめします。
- 動画編集はAMDとIntelどっちがいいですか?
-
書き出し時間を最優先するならコア数の多いRyzen 9が有力です。ただしIntelのQuick Sync Videoに対応したソフトを使う場合は、スコア差ほどの違いが出ないこともあります。どちらを選ぶにせよ、メモリ32GB以上を確保することを優先してください。
まとめ|迷ったらこの基準で選べば失敗しない
AMDとIntelの選択で押さえるべき点は、次の3つに集約されます。
1. 用途から決める
ゲームならAMDのX3Dモデル、法人での大量導入ならIntelのvPro対応機。事務用途であればどちらでも構いません。「性能が高いほうを選ぶ」のではなく、「使い方に合うほうを選ぶ」のが結果的に最も無駄がありません。
2. メーカーより世代と型番を確認する
Ryzen 7 5700XとCore i7-14700Kでは、同じグレード表記でありながら性能に2倍近い開きがあります。型番の読み方さえ覚えてしまえば、スペック表から必要な情報を数秒で拾えるようになります。
3. 予算配分はCPUだけで考えない
CPUのグレードを1段上げるより、メモリを16GBから32GBに増やしたほうが体感が良くなる場面は少なくありません。中古・再生パソコンという選択肢も含めて検討すれば、同じ予算でより快適な環境を組めます。
当店では、Ryzen搭載モデル、Core Ultra搭載モデルをはじめ、新品未使用品や再生パソコンを幅広く取り揃えています。用途に合わせた構成選びでお困りの際は、ぜひご相談ください。


